東京都渋谷区立西原小学校

ディスレクシアの傾向がある子どもたちを
私たちが支援できるのは小学校時代だけ

保護者や本人が、自分の得意なこと、苦手なことを知っていて、相談相手がいるというのは、とても大きいですね。私たちが支援できるのは小学校時代だけなんです。本人にとっては一生のこと、保護者も小学校卒業後も支援は続いていきます。子ども自身が、困りごとがあれば助けの求め方が分かっていき、小学校だけに留まらず、将来に渡って生きていく力を付けていってくれるといいと思います。

教科書に読みがなを振ってはいけない?

様々な子どもたちの様子を見て知っている特別支援教室の支援員の先生が、サポートしてくれるのは、とてもいいことです。現在は、5・6年生の国語の教科書として、ルビが入ったデジタル教科書が入りましたが、それまでは、特別支援教室の支援員の先生がディスレクシアの傾向のある子一人一人にルビが入った教科書を手作りしてくれていました。特別支援教室の子も、そうでない子も、個別に必要な支援をしていたのは、例えばルビ入りの教科書やルビ入りのテストがあったら、その子を助けられるということを知っているからです。

今の保護者たちは、「教科書に読み仮名を振ってはいけない」と言われてきた世代です。学校でルビ入り教科書をもらえると、保護者も、「この子にとって必要なことはやっていいんだ」と理解できます。今は、業者の方でもディスレクシアのことを知っていて、ルビ付きのテストを用意してくれています。購入するときにクラスで3枚はルビ付にするなど、必要な枚数を注文すればよいので、便利になってきています。
特別支援に理解がある人が学校にいるということは、とても大きな力になります。実際に支援を目にすることで、担任もディスレクシアの傾向がある子には「自分にもできることはやろう」と頑張ってくれるし、困っていることを相談できる相手がいるのは心強いですね。まだまだ充分ではないと感じますが、一つ一つ丁寧に支援していくようにしています。

一人一台タブレットを持ち、ディスレクシアの
傾向がある子への対応や特別支援の垣根が低くなった

ディスレクシアの傾向のある子には、その子だけの特別な対応ということについては、「合理的配慮」をしなければならない時代なので、板書が苦手な子に関しては、「タブレットで黒板の写真を撮れば良い。タブレットに送って、大きく見せてあげれば良い。」というように、渋谷区では区全体でICT活用を推進しています。もともとタブレットの操作性の良さを一番必要としていたのはディスレクシアの傾向のある子や特別支援教室であり、一人一台持つようになってから、いろんな垣根が低くなりました。支援学級の一人だけではく、クラスみんなが使っていればさらに周りの目を気にせず使いやすくなります。
西原小学校は、巡回でくる特別支援教育の支援員が取り出し授業を行う特別支援教室があり、学習障害、発達障害への支援が手厚い方だと思います。渋谷区からICTの活用を進めるように言われていることもあり、タブレットの活用も進んでいて、その相乗効果によって、今、とてもいい環境になっています。

取り出し授業で特別支援教室に行っている子たちも、教室にいる時間の方が圧倒的に長く、教室で困っていることがあります。また、ずっと教室で授業を受けている子たちの中にも、ディスレクシアの傾向のある子もいて、困っている子はたくさんいるんです。教室では、担任や副担任の支援がかなり必要になってきます。そこを、少しでも補助できるものがあれば、どんどん使っていきたいと思います。困っている子たちに、いつまでも「頑張ればいい!努力すればいい!」と言って、本人の頑張りに頼ってばかりもいられない時代です。支援の方法が違っていたら、その都度修正していかないと、いつまでたっても支援になっていない場合があります。

担任の先生が“苦手”を意識していなかった子に
気がつけるきっかけになるかもしれない

先生の中で、ディスレクシアの傾向があるかもしれない「少し気になっている子」というのがいて、今回のアプリのようなものを使い、結果に出ることで、より意識づけができると思います。実際に、今回のディスレクシア簡単チェックアプリの結果を持ってきた担任がいて、「音読の引っかかりが気になってましたが、傾向ありと出てました。」と報告してくれました。また、担任の先生が意識していなかった子に気がつけるきっかけにもなり得ると思いました。
先生たちは、常に気になっているんです。支援が必要な子に気づくきっかけがいくつかあって「音読」や「漢字テスト」が気づくきっかけになることがあります。努力不足である場合もありますが、ディスレクシアの傾向があると、漢字練習の努力をしていてもなかなか点数が取れない、漢字の1回1回のテストはできるが定着の仕方がスムーズでないことがあります。「書きたがらない。ノートを取りたがらない。」という子に対しても、苦手からくるのか、ただ面倒なのかは見極める必要があります。書くことが苦手で、苦労するから面倒になってしまうという子には支援が必要です。
今回のアプリもディスレクシアの傾向がわかるきっかけとなりますが、知的に問題がある可能性に気づくきっかけにもなります*。どちらかの見分けはできないので、支援をどう変えていくか、また新たな課題がわかりやすくなると思います。
*問いの中に、「目で読む問題」、「音で聴く問題」があり、「読めてる?」アプリの設定としては、音で聴くことが補助になるかどうかを確認していますが、結果として、言葉が理解できているか?が結果となって見えてくる部分があります。

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東京都新宿区立西新宿小学校